INTERN
インターン Vol.4

憧れのおとなに会いに行った学生に密着

OIU学生×ファッションディレクター / アートディレクター竹中 祐司さん

ファッションに興味を持ち、流されがちな自分を変えたいと強く願う“さがモン”こと小野さん。そんな彼女は、日本人でありながら憧れの業界・世界で活躍する竹中さんという存在を知りました。”常に新しい”、”枠にとらわれない”__自分の思い描いている理想像を追って、東京へと向かいました。

ファッションディレクター /
アートディレクター

竹中 祐司さん

1996年からセレクトショップのバイヤー/VMDを経験後、2001年コンデナスト・ジャパン(VOGUE編集部)入社。独立後フリーランスとして2005年からNYで活動する。2006年からRobert Gellerのクリエイティブディレクターとして、ショーのスタイリング、会場のデザインを担当。2007年にはNEWWORK MAGAZINEをファッションディレクターとして立ち上げる。現在はブランドのコンサルティングや個店のバイイングアドバイザー/コンサルティング、店舗ディレクションなども手がける。

常にワクワクするために、
新しいことを。

大阪国際大学の小野紗矢香と申します。よろしくお願いします。

竹中です。宜しくお願いします。

本日はお忙しい中、ありがとうございます。

こちらこそ。宜しくお願いします。

私は将来、ファッション業界で仕事をしたいと思っていまして、その道で幅広くお仕事されている竹中さんに、業界内のこととか、ファッションに対する思い、海外と日本の違い、キャリアを積まれるにあたって苦労されてきたこと、家庭のこととか、モチベーションとか…聞きたいことがいろいろあるんですけど(笑)。

そうなんですか(笑)。

私が調べたかぎりでは、ファッション業界のなかでもバイヤー、スタイリスト、店舗ディレクション、雑誌の編集、その他などなど…いろんな職種をされていたのは竹中さんだけじゃないかと思って、是非お会いしたいなと思って取材の依頼をさせて頂きました。

そうですか。ありがとうございます。
小野さんはファッションに興味があるということなんですが、それを仕事にしようと思ったんですか?

私は佐賀県出身で、結構田舎なんですね。中学のときから興味があって雑誌とか読んでいたんですけど、いろんなファッションに触れ合う機会があまりなくて。大学生になってから大阪に来て、東京にも旅行で行くことがあって、ようやくファッションに触れる機会が増えて、すごく自由な世界だなって思うようになったんです。

なるほどー。ぼくも広島県出身なので、地方って、雑誌のものとまったく同じものが手に入らないじゃないですか。じゃあ同じものを作ろうとなると工夫しないといけないから、そういうところでクリエイティブというか、そのへんの感性が磨かれたかもしれないですね。逆に地方で良かったのかもって思う。

これまでたくさんのお仕事を手がけてきたと思うのですが、そこまでいろんなことをやってみたくなるのはなぜでしょうか?

ずっと同じことやると、飽き性なのか、飽きてしまうんですよね(笑)。撮影とかだと、現場現場でスタッフが違うので、いろんな人から吸収できるんですよ。それもやってて楽しいことのひとつですかね。

一般的には、販売をやって、スタイリストして、バイヤーしてってなれば、ずっとバイヤーで、という方が多いと思うんですけど、新しいこと新しいことっていう姿勢がすごいなと思います。それは突発的にやりたい衝動がくるものなんですか?

うーん、これは説明しにくいんですけど、感覚的なんですよね。「あ、っそろそろかな」ってかんじ。東京にベース移したときも、ニューヨーク行ったときもそうなんですけど。無意識に思ってやってるんですよね。来年の今頃も同じことしてたくないので。

常に更新していきたい…?

そうですね。じゃないと、おもしろいこともできない。ショーも20回以上やってるんですけど、最初はすごい感動するんですよ。けど、回数を重ねると感動もなくなってくるんですよね。そうなると自分で動いて、新しいことやって常にワクワクできない。そうしないと仕事に対しての興味が薄れていくのかなって思います。

若いうちは、
自分の〝好き〟を育てる。

学生のうちにやっておいたほうがいいことってありますか?

まず、語学はやったほうがいいと思います。いろんな国の人と話せると多様な情報を得ることができる。もし海外に行く機会があれば話せると即戦力になりますしね。あと、自分がいいなって思うビジュアルはスクラップしたり、写真を撮ったり、そういうきれいなものを自分の中に蓄積する、っていうことが大事だと思います。

なるほど!自分の中で、きれい、うつくしい、すき、きらいとか、ベースを形成するということですか?

そうですね。結局、海外の仕事とかレベルの高いものを見て、いざつくるってなったときに、それを超えることはできない。オリジナル性をいかに出すかっていうことが重要だと思うんです。そのためには自分の中にあるベースが必要なんですよね。

そうなんですね。日本って、固定概念が多いイメージじゃないですか。竹中さんは自分の意見や個性をきちんと持たれてるからこそ、外でもアグレッシブにされてるというか。それってすごく難しいことなんじゃないかなって思ってしまうんです。私は自分の意見をあまり言えない性格で…。

自分の思う価値というか、判断基準は必要ですよね。で、それをどうやって説明するか、いつのタイミングにするか、そのへんの見極めも大事。けど、思ったことは言ったほうがいい。絶対あとで後悔するし、あとで思うより、そのとき言ったほうがいいと思いますよ。

そうですよね。けど、コミュニケーションが苦手なところがあって…。コツとかってありますか?

バイヤーの仕事で海外に行くと、話を聞いてもらえるんですよ。彼らもモノを売りたいから。けど、もっと仲良くなる、商品開発していこうとかになると、もう一歩踏み込まないといけない。だから自分がどういうものが好きとか、自分のコンセプトはしっかりあって、それで話ができたりすると、より広がるのかなと思います。

竹中さんもコミュニケーションに困られたのですか?

はい。ぼくもバイヤーのときは大丈夫だったんですけど、じゃあご飯食べに行こうってなったときに、話ができなくて。そうなったときに、いろんなことに対する自分の意見って持ってたほうがいいんですよ。

話のネタにもなりますよね!

そうそう。特に海外だと宗教があるじゃないですか。日本はすこし希薄で。お前の国はどうだって聞かれたときに答えられないんですよ。考えてないから。
人と人の対話って、プレゼンテーションとインタビュー、この2つしかないって思ってるんです。自分こうです、あなたどうですか?って。それをうまくおもしろい話を交えながらやるっていう。あっあと、大事なのが、その人に興味を持つことですかね。

ニューヨークに住んでも、
自分は自分。

ニューヨークに行ったことで得たものを教えてもらえますか?

まず、度胸はついたかなー。元々ある方かなとは思うんですけど、どうにでもできるかなって思いましたね。ニューヨークって、怖いイメージもあるかなと思うんですけど、デニムのメーカーの撮影で悪そうな雰囲気のモデルを使おうと思ったら、本当のギャングで(笑)。こういう場所でできたら、どこ行ってもできる、自信を持ってたら、なんでもできるかなって思いました。たとえ失敗しても何かに役立つし。とりあえずやってみることが大事ですよね。

はじめは周囲も竹中さんのことは知らないし、信用もなかったと思うんです。どうやって、周りの人に認めてもらいましたか?

ニューヨークはほぼ知り合いもいなくて、ツテもないまま行ったんです。はじめての撮影のときにいけるなって感じたのが、東京に来たときの感覚と同じだったんですよ。日本人ってアメリカナイズっていうか、アメリカってこうだからこうでいいんだなって思ってしまう傾向があるんだけど、ぼくは日本人らしく、時間を守るとか、言ったことはやるとか、真面目なことを必要以上にやってました。それが外国の方からは新鮮に映ったんでしょうね。

なるほど!日本人の良いところっていうのは海外ナイズされずに持ち続ければいいということですね。

うん。渡航して間もないころは英語もままならかったので、日本人の業界の人にお世話になろうかとも思ったんですけど、日本人とつるむとよくないなって思ったんですね。なので日本人のコネクションは断ち切って、外国人の方のとこだけに行くんだっていうのを2年ぐらいやったんですよ。

英語しか話せない状況に自ら持って行ったんですね。

そうですね。それで英語が伸びたのと、自分なりのルートができたのかなって思います。同じ人種だけでつるむと、もったいないじゃないですか。努力したのは、唯一そこですかね(笑)。

新しいことを始めるのに、
遅いなんてない。

日本だけじゃなく、海外に出ればそれだけ人脈も広がりますよね。日本とニューヨークのコミュニケーションで違う部分ってありますか?

ニューヨークはいろんな人種や目的を持った人が来ているので、みんなアグレッシブ。自分は何がしたくて、なにができるって言わないと埋もれてしまうんです。やっぱり積極性は必要かなって思いますね。日本で積極的すぎると「ちょっとあの人」って思われちゃうんですけど。

積極性ですか…やっぱり目上の人とか気が引けちゃう部分もあると思うんですけど、トップレベルの方々とお仕事をするって恐縮してしまわないですか?

海外は50〜60代、70代の人も現役でいる。で、仕事がはじまると同じ目線でやりたいことを話せるんです。なんでも好き放題言うというか、物怖じせずちゃんとディスカッションしてやるっていうことを教わったかなって思います。

若い人たちの意見も取り入れているということですか?

そうそう。重鎮の方でも学びたいっていう姿勢が結構あるなって思いました。たとえばカール・ラガーフェルドという方とお仕事したことがあって、シャネルのビルで撮影したんですけど、彼の周りはみんな若いんですよ。いろんなことを吸収したいというのがあるみたいで、新しい意見を取り込むって重要なんだなって。だからぼくも若い方とお仕事するときはそのスタンスでやりたいと思っています。

へー!かっこいい…

若い世代は自由でいいなって思います。30代後半になると、自分のコンセプトが凝り固まってしまうんですよね。若い人って発想が自由。「楽しい」って思います。

ありがとうございます!なんか、勇気をもらえます(笑)。

あと、ぼくがニューヨークへ行ったのは33歳のときなんですね。周りから遅いと言われたけど、それも関係ないと思っていて。自分のタイミングでいいんですよ。

好きなことを自由にできる
スペースを持つ。

WEBの記事で自分で自分の環境をつくることが大事だっていうのをおっしゃってるのを見て、詳しく聞かせてもらえたらなって思ってまして。やっぱり環境に任せようって人が多いと思うんです。誰かがなにかしてくれるとか。竹中さんはすべてのことに自分から動かれてますよね。

他人に勝手に期待しても仕方がないというか、裏切られると思うんですよ。だったら、自分の責任で、場所を作って自由にやる。たとえば、スタイリストの仕事は、たくさん洋服があります。狭い所でやるより、広い所でやる方が早いんですよ。ということは、単純にどんどんスペースを広げていくとやりやすいんですよね。自分の自由がきくスペースを広げていく、作るっていうのは、大事かなって思います。

ニューヨークマガジンを作られているのも、やりたいことを自由にやりたいというところからきたのでしょうか?

ニューヨークに住んで、ヨーロッバのイタリアンvogueとかいろいろやらしてもらったんですけど、やっぱりコンセプトありきの仕事だと、やりたいことができないなってなってきたんです。じゃあ自分たちで媒体つくっちゃえっていうのがきっかけです。

へー!すごいですね。作ってよかったなって思うことはありますか?

やっぱり巨匠って呼ばれる人たちとお仕事できたことですかねー。自分たちでぜんぶ決めれるので、好き放題やれる。たとえばアルバートワトソンっていう写真家とお仕事しました。彼は世界で一番vogueの表紙を飾っている人物なんですけど、ぼくの雑誌でぜひ仕事したいと、口説き落としました。そのあと、彼の写真集にその写真が乗ったときは歴史の1ページになったかなって思いましたね。やってて光栄でした。

すごい…!この人に会いたいとか、一緒に仕事したい、で動いてしまっていいということですか?

そうそう。けど、そのためには自分でスペースをつくらないといけない。オファーを受けた仕事に対してブーブー文句をいうだけじゃなくて、自分で犠牲を払ってでも媒体をつくる、その考えは今も変わってないですね。

今までのキャリアを積まれるにあたって、犠牲にしたこと、苦労したことはありますか?とても多そうですよね…?

うーん。よく海外で仕事するにあたって、大変だったでしょとか、何か犠牲にしたこととか結構聞かれることが多いんですけど。全然ないんですよね(笑)。楽しいので。苦労を苦労と思わないというか、好きなことを仕事にできているからなんですよね。それが一番幸せかなと思います。

正解は一つじゃない。
だったら自分で
つくればいい。

私はファッションが好きなだけでどんな仕事や職種があるかまだよく分かってないと思うんです。これまではバイヤーが自分のなかで輝いていました。将来的には自分が好きなものを集めたお店・アトリエみたいなものを地元に、という夢があります。

あっ、そこまで明確であればいいですよね!

けど最終地点しか分からないというか、過程が想像できない不安があるんです…。

ご卒業されてセレクトショップで販売をやって、バイヤーっていうキャリアを積んでご実家に帰る、っていうのが一般的なルートになるんですかね。けど過程ってあんまり関係なくて、百人いたら百通りあるものなんですよ。

こうだからこうじゃないといけないっていうのはない、ということでしょうか?

うん。ある程度の常識は必要なので、仕事ってどう成り立っているかを学んでしまえば、あとは自分でやってしまえばいいと思いますけどね。

そうなんですね。この業界って自由ですか?

自由ですね。ぼくもバイヤー職辞めて、大手でフリーバイヤーをやらせてもらえるようになったんですけど、そういう職はあまりなかったんですね。キャリアがあったのでできたわけですけど。

自分で自由をつくる、という感じですね。

そうですね。先ほど有名な写真家を口説き落としたといいましたけど、交渉も自由です。とにかく相手を調べつくし、たくさん本を持って行って、こういうの好きだよねって。ぼくらの雑誌は自由だから、一緒にものづくりしようと熱意を持ってアピールしました。

うつくしい、かっこいいの基準も人によって変わりますしね。

ぼくは色だったり、形だったり。「バランス」が好きですね。ときにはアンバランスなのにうつくしいものもある。一概にこれとは言えないんだけど。自分の心にヒットする「バランス」。それがぼくにとってうつくしいものですね。

そのなかで自分のなかの基準ってありますか?

だいたい、ちょっとアンパーフェクトなものに魅力を感じてしまう。すごく綺麗な絵よりは、もうすこし雑多というか、そういうものがうつくしいとかんじたり、惹かれます。
本当にファッションもアートも自由でいいと思うんですよ。正解がないものなので。自分が納得して自分がいいと思えれば、どんなものでもいいから、こうじゃないといけないっていう固定観念で固まるのが一番ナンセンスですよね。

なるほど、勉強になりました!最後にみなさんに共通して聞いていることなんですけど、「面白いおとな」ってどういう人だと思いますか?

そうですね。子どものようなおとなじゃないですか?さっきも言ったように好きなときに好きなことをやってる。そのための環境づくりを頑張っている人。一応ぼくはそこを目指してやってますね。

なるほど!本日はお忙しい中、ありがとうございました!

ありがとうございます。頑張ってくださいね。